ミニラ襲来

2006年1月19日 お仕事
注)ミニラ=ゴジラの子供

以前勤めていた会社の上司が、
今日どういう訳か私の出張先である会社にやって来ました。
同じ業界だから、そういう可能性は十分にあるんですけれどね。

今の出張先での私の机が入り口付近にあるために、
来客は先ず、私に声を掛けます。
でも、内部事情など分かりませんので戸惑っていると、
気づいた職員の方が接客を代わってくれます。

で、今日も「こんにちは」と声を掛けられました。
振り向いて見ると、あっ! 忘れもしないあの顔が。

私もそ知らぬ顔で対応し、絶対気づいていると思うのですが、
向こうも、遅ればせながら得意客へ新年の挨拶に来ました、
という態度で終わりました。

思い出します。

このヒト、私が数年前勤めていた会社の取締役本部長だったんです。
温厚といえばそうだけど、
何の仕事をしているのかさっぱり分からない。
日中は机でいつも居眠りしている姿。
席でこっくりこっくり舟を漕いで、ハッ!と驚いた様子で起きるその姿。
きっかり定時に上がる姿。…そんなのしか印象になくて。
役員なんてそんなもの、と言えばそれまでだけど。

当時、入社1年半で、
何と私の勤める課で一番の古株になってしまったことがありました。
しかも、それまでの課長は異動しもう居ないのにも関わらず、
新しく赴任する課長が、半年も着任できない状態になってしまいました。

全国30数店ある各支店に経営目標などを提示する部署に居たのですが、
何とその目標を提示しないといけないギリギリの時期にようやく、
新課長は着任できると言うのです。

じゃあ、どうすればいいの!?

そんな時、この取締役本部長が兼務すればいいと思うのですが、
このおやぢはやる気ゼロ。
同じフロアの営業課長が兼務することに。

…ナニそれ〜!!!

本来の業務である営業の数字を抱え、その課長は外回りでめったに席に居ない。
居るのは国立大学院出身のプライドばかり高くて
何も出来ないトラブルメーカーの新入社員と、
晴れた日には「お布団干すのに丁度いいと思わな〜い?」と
窓の外を眺めてボーっとしている、
コネで入った週2日出勤のおじゃうさま。

…勘弁してよ〜!!!

それでも、ギリギリになっても経営目標を決定できるように、
様々なデータを集め、
色々な式を使って数値を(案)として幾つも出しておき、
着任した新課長には、どの式で出した数値を目標とするか、だけで
決められるようにしておいたのです。

間に合いましたよ、無事、経営会議まで。

本当にあの頃は、体調崩しても休めなくて、
毎日12時まで残業して、フラフラでした。

2月末の経営会議前の12月、ボーナスの支給がありました。
その日、兼務していた営業課長がこっそりと、
「査定良かっただろう?」と聞いてきました。
いえ、標準ですけれど、と答えると、驚いた様子。

「ありす(もちろん仮名)がとても頑張っているから、
普通よりも多く出してもらえるよう、内定していたのに!」

この会社の査定は、
その部署での本部長以下課長までの本部会議でその社員の査定が内定し、
さらに取締役会議で決定すると言うもの。

当時の私の大変さを知っていた部課長達は、
冬のボーナス査定標準4.0を、
私だけ5.0で内定して出してくれたにも関わらず、
最後の取締役会議で変更されたらしいのです。

営業成績の悪い営業マンならともかく、
内勤職員ではよほど勤務態度が怠慢の場合を除いて、
それはなかったそうです。

「ありすの勤務態度で否決されるわけがない!
あの本部長が役員会議で
“ウチはみんな平等で”って言い出したんだろうな(怒)。
あの人、そういうの面倒くさがるから。
だったら俺達が出したあの会議での結果は何なんだよ!」

その時は、そうやって部長・課長たちが認めてくれたことを素直に喜び、
私のことなのにとても怒ってくれるその課長に対し、感謝の言葉で終えました。
その後は2月末の経営会議を乗り切るため、
日々の多忙に紛れてしまいましたが、
心のどこかに引っかかっていたのも事実です。

ミニラ、と影で呼んでいたのがバレたのかしら?(爆)

中背にやや肉付きのいい体格。
顔立ちも、デフォルメして少々可愛くした?ゴジラみたいです。
でも、どこかヒーローちっくなゴジラよりは…、やっぱりミニラ。

私が辞めてからかなり経つのに、
そのおやぢ、全く変わらないミニラのまま。

置いていった名刺を見て、笑ってしまいました。

当時の役職・取締役本部長から、なぁんと、
同族企業の中、社長の親族以外ではトップの、
副社長まで昇格していました。

大したものです。
温厚な人柄だけを武器にここまで上がってきたのですから。

でもきっと相変わらず、居眠りしているんだろうなあ〜(想像中)。

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