ブルドッグにハマってます
2007年7月23日 読書
ここ数ヶ月、ブルドッグが好きで好きで仕方がない。
フレンチ・ブルドッグじゃないです。
イングリッシュ・ブルドッグ。耳が垂れている方です。
あの顔に似合わず、性格は甘えん坊で穏やかで
愛嬌がある(そうなんですよ!)。
どうしてブルドッグのキャラクターって、
実際の性格とは似ても似つかない、
悪役とかになってしまうのでしょうか?
ゴールデン・レトリーバーとかジャーマン・シェパードとか、
訓練能力の高い犬も好きだけど、家でのんびり過ごすのが好きなので、
ブルちゃんみたいに傍らで一緒に過ごしてくれる犬が好きです。
柴犬みたいに顔の可愛い犬も好きだけど、
ブルちゃんのあの強面で全身で甘えてくる姿は、
普通に可愛い顔の犬が同じ事をするより、ずうっと可愛らしく思えます。
飼ってみたいけど、初心者には飼うのが難しい犬種。
病気がちで通院ばかりだとか。力が強くてお散歩も大変。
頑固な性格だから躾も時間が掛かる。
あと、いびきとオナラも凄いらしい^^;
何より、家族が同意してくれません。
「もう少し可愛い犬がいい」って言われちゃいました(涙)。
ブルちゃんも中身は可愛いのですけれどね、
家族は外見の事を言っています。
…犬も人間も、決して見た目じゃ分からない良さがあるのに…(悔)。
そんな状態なので、ブルドッグ関連の本ばかり読んでいました。
図書館にある本だけですが、意外と少ないのが残念。
飼育書なんかでも、フレンチ・ブルドッグの方が多いです。
まずは1冊目。
芥川賞作家の高橋三千綱さんの「明日のブルドッグ」。
ご自身もブルドッグを飼っておられるのですが、
自分の愛犬の現実の日常生活と、
(現実ではない)オオタカとの友情物語をひとつにした1冊。
各章毎に実際のブル太郎くんの写真が載っていますが、とても可愛い。
2冊目。
アメリカ人の医師・レナルド・J. フィッシャー氏の「シャーマン・ブルドッグ」。
この方も実際にブルドッグを飼っておられ(過去形)、
家族としてともに過ごした日々を、神秘的なものと結びつけて綴っています。
3冊目。ここからはハウツーモノ、飼育書ばかり。
「ブルドッグ・マニア―圧倒的な存在感がたまらない!」
「ブルドッグ (愛犬の友 犬種ライブラリー)」などなど。
こういった本を読んで、飼う予定もないのに
知識だけは増えていくのは、サビシイ気持ちになってしまいます。
今はネットオークションで以前の永谷園の懸賞品、
「リールちゃんとアールちゃん(どちらもブルドッグの子犬)のぬいぐるみ」を
狙っているのですが、実は私の会社、夏のボーナスが出なかったのです…。
ここは我慢するトコロだよね…(T^T)ウック!
(ISBN:4794214979 単行本 高橋 三千綱 草思社 2006/06 ¥1,365)
フレンチ・ブルドッグじゃないです。
イングリッシュ・ブルドッグ。耳が垂れている方です。
あの顔に似合わず、性格は甘えん坊で穏やかで
愛嬌がある(そうなんですよ!)。
どうしてブルドッグのキャラクターって、
実際の性格とは似ても似つかない、
悪役とかになってしまうのでしょうか?
ゴールデン・レトリーバーとかジャーマン・シェパードとか、
訓練能力の高い犬も好きだけど、家でのんびり過ごすのが好きなので、
ブルちゃんみたいに傍らで一緒に過ごしてくれる犬が好きです。
柴犬みたいに顔の可愛い犬も好きだけど、
ブルちゃんのあの強面で全身で甘えてくる姿は、
普通に可愛い顔の犬が同じ事をするより、ずうっと可愛らしく思えます。
飼ってみたいけど、初心者には飼うのが難しい犬種。
病気がちで通院ばかりだとか。力が強くてお散歩も大変。
頑固な性格だから躾も時間が掛かる。
あと、いびきとオナラも凄いらしい^^;
何より、家族が同意してくれません。
「もう少し可愛い犬がいい」って言われちゃいました(涙)。
ブルちゃんも中身は可愛いのですけれどね、
家族は外見の事を言っています。
…犬も人間も、決して見た目じゃ分からない良さがあるのに…(悔)。
そんな状態なので、ブルドッグ関連の本ばかり読んでいました。
図書館にある本だけですが、意外と少ないのが残念。
飼育書なんかでも、フレンチ・ブルドッグの方が多いです。
まずは1冊目。
芥川賞作家の高橋三千綱さんの「明日のブルドッグ」。
ご自身もブルドッグを飼っておられるのですが、
自分の愛犬の現実の日常生活と、
(現実ではない)オオタカとの友情物語をひとつにした1冊。
各章毎に実際のブル太郎くんの写真が載っていますが、とても可愛い。
2冊目。
アメリカ人の医師・レナルド・J. フィッシャー氏の「シャーマン・ブルドッグ」。
この方も実際にブルドッグを飼っておられ(過去形)、
家族としてともに過ごした日々を、神秘的なものと結びつけて綴っています。
3冊目。ここからはハウツーモノ、飼育書ばかり。
「ブルドッグ・マニア―圧倒的な存在感がたまらない!」
「ブルドッグ (愛犬の友 犬種ライブラリー)」などなど。
こういった本を読んで、飼う予定もないのに
知識だけは増えていくのは、サビシイ気持ちになってしまいます。
今はネットオークションで以前の永谷園の懸賞品、
「リールちゃんとアールちゃん(どちらもブルドッグの子犬)のぬいぐるみ」を
狙っているのですが、実は私の会社、夏のボーナスが出なかったのです…。
ここは我慢するトコロだよね…(T^T)ウック!
(ISBN:4794214979 単行本 高橋 三千綱 草思社 2006/06 ¥1,365)
本を読んでいて、「自分と似ている」って思える
登場人物に会うことがあります。
私にとって、この『ななつのこ』の主人公、駒子がそうです。
大人しくて文学少女。今、全く流行らないタイプ(苦笑)。
この本は加納朋子さんのデビュー作。
7つの短編がそれぞれ関わりを持っている、連作短編集です。
主人公の駒子が、手にした1冊の小説『ななつのこ』。
その作家にファンレターを出すことから物語は始まります。
本の感想のみならず、駒子の身の周りに起こった小さな謎。
それを一緒に書き記して送ったところ、
作家からその謎を解決した返事が届く…それが7編、続きます。
ミステリー小説なのですが、大きな事件は一つもありません。
犬がいなくなったこと、駒子のアルバムから無くなった写真が戻ってきたこと…。
自分の身の周りにもあってもおかしくないような事件ばかりです。
その中でも私がとても好きなのが、6編目の「白いタンポポ」。
内容は、九州から東京へ転校してきた真雪ちゃんという少女が、
授業で「花に色を塗りなさい」と言われて、
バラもチューリップも水仙も、タンポポまでも白く塗ってしまう。
「バラやその他の花ならともかく、
黄色いタンポポを白く塗ってしまうなんて…」ということで、
教師から情緒に欠陥があるのでは?と思われたことがきっかけになり、
真雪ちゃんは心を閉ざしてしまいます。
一般的に黄色だと思われているタンポポ。でも、黄色だけなのでしょうか?
白いタンポポ。実は私、見たことがあります。
私も九州の小学校から東京へ転校したことがあるのですが、
九州で、白いタンポポ、見た記憶があるのです。
なので、最初この小説を読んだ時、
「なんで? どうして情緒欠陥なの?」と思いました。
一般的には黄色いタンポポですが、西日本の一部に、白いタンポポが生息します。
真雪ちゃんはそれを見たことがあるのと、
自分の名前に関わりのある白い色が大好きで、白に塗ってしまっただけなのです。
決して情緒に心配がある訳ではないのです。
この小説だけではなくて、実際にもこういうことって、あり得ると思うのです。
自分の経験や常識で色んな物事を判断してしまうことって。
それを責めるつもりは勿論ありません。
自分だって同じ事、きっとしているでしょうし、ある意味仕方のないことですから…。
自分の常識の範囲内だけで物事を判断してしまっただけで、
この教師も、そして真雪ちゃんも、決して間違ったことは言っていません。
悪い人は出てきません。
それは全編…というより加納さんの著作に一貫しています。
ただ、それが食い違ってしまった時の切なさや難しさを、
みずみずしく優しい文章で綴っています。
この真雪ちゃんと同じく、私も九州から東京の小学校へ転校した経験があります。
九州ではなんでもなかったことが東京では奇異に見えたらしく、
私もしばらく周囲から“変わったコ”と見られていました。
あの頃の、寂しさと窮屈さ。
新しい環境に入って行く時、小学校を卒業した今でも、思い出しては緊張します。
そして駒子はこの少女に親近感を持ちます。
また、私もこの少女に、駒子に、昔の自分を感じます。
私がこの小説を愛おしく感じるのは、そういう点が大きいのかもしれません。
もう13年位前に出版された本なので、
中には「光GENJI」とか「たま」なんて出てきます(笑)。
でも、古さを感じない1冊です。
(『ななつのこ』ISBN:4488426018 文庫 加納 朋子 東京創元社 ¥546)
登場人物に会うことがあります。
私にとって、この『ななつのこ』の主人公、駒子がそうです。
大人しくて文学少女。今、全く流行らないタイプ(苦笑)。
この本は加納朋子さんのデビュー作。
7つの短編がそれぞれ関わりを持っている、連作短編集です。
主人公の駒子が、手にした1冊の小説『ななつのこ』。
その作家にファンレターを出すことから物語は始まります。
本の感想のみならず、駒子の身の周りに起こった小さな謎。
それを一緒に書き記して送ったところ、
作家からその謎を解決した返事が届く…それが7編、続きます。
ミステリー小説なのですが、大きな事件は一つもありません。
犬がいなくなったこと、駒子のアルバムから無くなった写真が戻ってきたこと…。
自分の身の周りにもあってもおかしくないような事件ばかりです。
その中でも私がとても好きなのが、6編目の「白いタンポポ」。
内容は、九州から東京へ転校してきた真雪ちゃんという少女が、
授業で「花に色を塗りなさい」と言われて、
バラもチューリップも水仙も、タンポポまでも白く塗ってしまう。
「バラやその他の花ならともかく、
黄色いタンポポを白く塗ってしまうなんて…」ということで、
教師から情緒に欠陥があるのでは?と思われたことがきっかけになり、
真雪ちゃんは心を閉ざしてしまいます。
一般的に黄色だと思われているタンポポ。でも、黄色だけなのでしょうか?
白いタンポポ。実は私、見たことがあります。
私も九州の小学校から東京へ転校したことがあるのですが、
九州で、白いタンポポ、見た記憶があるのです。
なので、最初この小説を読んだ時、
「なんで? どうして情緒欠陥なの?」と思いました。
一般的には黄色いタンポポですが、西日本の一部に、白いタンポポが生息します。
真雪ちゃんはそれを見たことがあるのと、
自分の名前に関わりのある白い色が大好きで、白に塗ってしまっただけなのです。
決して情緒に心配がある訳ではないのです。
この小説だけではなくて、実際にもこういうことって、あり得ると思うのです。
自分の経験や常識で色んな物事を判断してしまうことって。
それを責めるつもりは勿論ありません。
自分だって同じ事、きっとしているでしょうし、ある意味仕方のないことですから…。
自分の常識の範囲内だけで物事を判断してしまっただけで、
この教師も、そして真雪ちゃんも、決して間違ったことは言っていません。
悪い人は出てきません。
それは全編…というより加納さんの著作に一貫しています。
ただ、それが食い違ってしまった時の切なさや難しさを、
みずみずしく優しい文章で綴っています。
この真雪ちゃんと同じく、私も九州から東京の小学校へ転校した経験があります。
九州ではなんでもなかったことが東京では奇異に見えたらしく、
私もしばらく周囲から“変わったコ”と見られていました。
あの頃の、寂しさと窮屈さ。
新しい環境に入って行く時、小学校を卒業した今でも、思い出しては緊張します。
そして駒子はこの少女に親近感を持ちます。
また、私もこの少女に、駒子に、昔の自分を感じます。
私がこの小説を愛おしく感じるのは、そういう点が大きいのかもしれません。
もう13年位前に出版された本なので、
中には「光GENJI」とか「たま」なんて出てきます(笑)。
でも、古さを感じない1冊です。
(『ななつのこ』ISBN:4488426018 文庫 加納 朋子 東京創元社 ¥546)
今までの報告 その2〜こんな本を読んでいました
2006年12月16日 読書
もうずっと気になっていたことがある。
数年前、東京の浅草で起こった事件。
レッサーパンダの帽子をかぶった男が、
ただそこを歩いていただけの何の罪もない女子短大生を
何度も何度も刺し、結果死に至らしめた残虐な事件。
犯人はその後捕まり、知的障害がある北海道出身者。
その障害のためか、報道はあまりされなくなっていく。
この男の家族構成は、両親と妹と弟。
気になっていたのは、この男のことじゃなくて、その妹のこと。
働き者の母を亡くし、残ったのは、
あればあるだけお金を使ってしまう父と、障害のある兄。
そんな家族の面倒を一身にみていた妹。
進学も諦め、家族を養うために働きに出、その後ガンを発病。
治療費すら、自分で働いて得なくてはならない。
そのお金も、父は使い込んでしまう。
兄は無銭飲食などの軽い罪を犯し、その都度、妹に助けを求める。
弟は結婚し、家を出ていた。
そして、兄は取り返しのつかない事件を犯してしまう。
家には報道陣が取り囲み、身動きできない状態になる。
それを見たボランティア団体が家族の力になってから、妹の生活は一変する。
妹はガン患者として障害認定を受けることが出来、生活も安定する。
さらに、お金にだらしのない父も知的障害があることが分かり、
父も障害認定を受ける。
「良い事なんて何もなかった」と言う人生。
末期がんになり、医師に言われた余命を7ヶ月も長く生きた。
旅行、花火大会、一人暮らし。
ボランティアの人たちと共に、楽しい思い出をその間に作ることが出来た。
でもそれは、兄が一人の女性の命を奪ったことから始まったものだった。
そんな事件がなければ、このボランティア団体と妹は、
つながりを持つことはなかったのだから。
この事は、北海道新聞の連載記事で知っていました。
それからずっと気になっていました。この妹さんのこと。
もっと詳細を知りたいと思っていました。
何故知りたいと思ったのか、自分でも分からないのです。
記事に載っていたこと以上のことがあるとも、思えなかったのに。
そしてこの本が出版されていることを知りました
『自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』。
著者は、長年障害者教育に携わってきた人です。
本の内容は、事件を起こした男の生育暦と、裁判の過程が大半です。
そして、被害者の女性の家族へのインタビュー。
妹については、連載記事よりもやや心情が表現されている点で、
ページ数は少ないけれど、充実していたように思います。
被害者がいて、加害者がいて、そしてその家族がいる。
失ったものの大きさは、失ってみないと分からないのです。
そしてそれがきっかけで、この妹のように、別の世界を得た人間もいる。
生活保護や障害認定すら知らなかったこの男の家族。
障害を理解されずに裁判に臨み、
さらに自分自身でもその罪を理解していないであろうこの男。
犯した犯罪は許されるものではありませんが、
福祉や平等といった言葉の危うさを実感します。
この本を読んで以来、関連する本を読んでいました。
例えば、『累犯障害者―獄の中の不条理―』。
これは、山本譲司さんと言う、
国会議員当時秘書給与搾取で実刑を受けた人の著書です。
このレッサーパンダ帽子男の事件だけじゃない、
障害者が起こした事件について書かれています。
『自閉症裁判』よりも冷静で文章が分かりやすいです。
それは、被害者側にまでインタビューした『自閉症裁判』よりも、
背負うものが少ないから、と言うだけかもしれませんけれど。
刑務所内では、多くの障害者が刑に服し、
「ここが一番暮らしやすい」と思っている事実。
この本では、障害者が的確に表現できないがために、事件を起こす、
裁判で不利になる現実を描いています。
自分のいる世界と同じはずなのに、全く違う世界。
色んな事を考えさせられました。
(ISBN:4896918983 単行本 佐藤 幹夫 洋泉社 ¥2,310)
数年前、東京の浅草で起こった事件。
レッサーパンダの帽子をかぶった男が、
ただそこを歩いていただけの何の罪もない女子短大生を
何度も何度も刺し、結果死に至らしめた残虐な事件。
犯人はその後捕まり、知的障害がある北海道出身者。
その障害のためか、報道はあまりされなくなっていく。
この男の家族構成は、両親と妹と弟。
気になっていたのは、この男のことじゃなくて、その妹のこと。
働き者の母を亡くし、残ったのは、
あればあるだけお金を使ってしまう父と、障害のある兄。
そんな家族の面倒を一身にみていた妹。
進学も諦め、家族を養うために働きに出、その後ガンを発病。
治療費すら、自分で働いて得なくてはならない。
そのお金も、父は使い込んでしまう。
兄は無銭飲食などの軽い罪を犯し、その都度、妹に助けを求める。
弟は結婚し、家を出ていた。
そして、兄は取り返しのつかない事件を犯してしまう。
家には報道陣が取り囲み、身動きできない状態になる。
それを見たボランティア団体が家族の力になってから、妹の生活は一変する。
妹はガン患者として障害認定を受けることが出来、生活も安定する。
さらに、お金にだらしのない父も知的障害があることが分かり、
父も障害認定を受ける。
「良い事なんて何もなかった」と言う人生。
末期がんになり、医師に言われた余命を7ヶ月も長く生きた。
旅行、花火大会、一人暮らし。
ボランティアの人たちと共に、楽しい思い出をその間に作ることが出来た。
でもそれは、兄が一人の女性の命を奪ったことから始まったものだった。
そんな事件がなければ、このボランティア団体と妹は、
つながりを持つことはなかったのだから。
この事は、北海道新聞の連載記事で知っていました。
それからずっと気になっていました。この妹さんのこと。
もっと詳細を知りたいと思っていました。
何故知りたいと思ったのか、自分でも分からないのです。
記事に載っていたこと以上のことがあるとも、思えなかったのに。
そしてこの本が出版されていることを知りました
『自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』。
著者は、長年障害者教育に携わってきた人です。
本の内容は、事件を起こした男の生育暦と、裁判の過程が大半です。
そして、被害者の女性の家族へのインタビュー。
妹については、連載記事よりもやや心情が表現されている点で、
ページ数は少ないけれど、充実していたように思います。
被害者がいて、加害者がいて、そしてその家族がいる。
失ったものの大きさは、失ってみないと分からないのです。
そしてそれがきっかけで、この妹のように、別の世界を得た人間もいる。
生活保護や障害認定すら知らなかったこの男の家族。
障害を理解されずに裁判に臨み、
さらに自分自身でもその罪を理解していないであろうこの男。
犯した犯罪は許されるものではありませんが、
福祉や平等といった言葉の危うさを実感します。
この本を読んで以来、関連する本を読んでいました。
例えば、『累犯障害者―獄の中の不条理―』。
これは、山本譲司さんと言う、
国会議員当時秘書給与搾取で実刑を受けた人の著書です。
このレッサーパンダ帽子男の事件だけじゃない、
障害者が起こした事件について書かれています。
『自閉症裁判』よりも冷静で文章が分かりやすいです。
それは、被害者側にまでインタビューした『自閉症裁判』よりも、
背負うものが少ないから、と言うだけかもしれませんけれど。
刑務所内では、多くの障害者が刑に服し、
「ここが一番暮らしやすい」と思っている事実。
この本では、障害者が的確に表現できないがために、事件を起こす、
裁判で不利になる現実を描いています。
自分のいる世界と同じはずなのに、全く違う世界。
色んな事を考えさせられました。
(ISBN:4896918983 単行本 佐藤 幹夫 洋泉社 ¥2,310)
「わたしのいもうと」〜いじめるという事はどんなことか
2006年12月13日 読書
しばらく続いていた、いじめによる自殺の報道、
少し落ち着いてきましたね。
こういったニュースは、テレビで聞いていて、
新聞やネットで見て、とてもとてもつらかったです。
実を言えば…。私もいじめられた経験があるから。
それも、かなりヒドイいじめ。
どれくらいひどかったのか…については、
思い出したくないし、書きたくない。書けない。
だから理解できます。いじめられた末に、自殺を選ぶ気持ち。
思うのですが、いじめって、
想像力の欠如から起こるんじゃないかと思うのです。
自分がいじめられる側だったら?
自分の大切な人がいじめられていたら?
そうだったら、どう思う?
そんな思いを、自分は他の人間にさせているんだと言うことを、
想像できないがためにいじめるんじゃないだろうか。
それを教えてくれるのが、この本。『わたしのいもうと』
この絵本を読んだのは、買い物帰り、一人で食事しようと入った、
あるオムライス専門店でした。
とても可愛い、メルヘンな感じの店内のカウンターに、立てかけてあったこの絵本。
オムライスが来るまでの時間つぶしのつもりで、手に取りました。
女の子の後姿が描かれた、優しい印象の可憐な表紙。
作家は松谷みよ子さん。
子供の頃、この人の本をたくさん読んだせいなのか、
懐かしい大切な友達にあったような気がしました。
店内の印象に合わせるためのインテリアだったのか。
それとも何か店側のメッセージだったのか…。
この絵本はさりげなく置いてありました。
実話を元に作られたと言うこの絵本。
読みながら泣きました。オムライスを食べながら泣きました。
妹と、母、わたし(姉)の気持ちが切ないです。
転校がきっかけでいじめられるようになった、わたしの妹。
そして家に引篭もるようになります。
ところがいじめた子達は、いじめたことも、いじめたわたしの妹のことも、
その妹がどうしているかも忘れたかのように、中学生になり高校生になっていく。
そして迎えた、余りにも悲しい結末…。
どうしていじめってあるんでしょう?
いじめなんて無くなればいいのに。痛切にそう思いました。
いじめって、いじめた側には傷は残らない。
それはいじめるということで感情を表現しているから。
ですが、いじめられた側には深い傷が残る。
感情を押し殺して、表に現さないから。
そう、あるカウンセラーの方が言っていました。
自分の中にある鬱屈したものを、
傷つく言葉や冷たい態度という形で誰かに押し付けること。
それがいじめなのかもしれません。
いじめがどういうことか、この絵本は端的に教えてくれます。
そして、いじめている子にも、その子を大切に思っている人(家族など)がいる、
自分と同じ存在なのだと言うことを教えてくれます。
その子をいじめると言うことは、
その子を大切にしている人たちまで傷つけると言うことに、気づかせてくれます。
イギリスでは、いじめをしたら退学だという話を聞いたことがあります。
イギリスの学校に通っていた人に聞いてみると、
「そう言えばいじめってなかった」と言っていました。
そこまでしないと、いじめってなくならないのでしょうか?
じゃあ、今問われている、「いじめた人間を出席停止にする」と言う考え。
これはどう?
私も転校生だったから、この妹の気持ちが分かります。
小学校では転校生って目立つ存在で、
それ故に嫌な思いをしたことも多く、それがいじめに発展していったので。
なので、最初はこの本の結末が悲しくて、読まなければ良かったと思ったり。
手に取ったこの絵本は、薄汚れていました。
それだけ多くの人が手に取ったのだと思います。
その人達の心に、いじめがどんなことなのか浸透したことを、強く願っています。
(ISBN:4034380500 大型本 味戸 ケイコ 偕成社 ¥1,260)
少し落ち着いてきましたね。
こういったニュースは、テレビで聞いていて、
新聞やネットで見て、とてもとてもつらかったです。
実を言えば…。私もいじめられた経験があるから。
それも、かなりヒドイいじめ。
どれくらいひどかったのか…については、
思い出したくないし、書きたくない。書けない。
だから理解できます。いじめられた末に、自殺を選ぶ気持ち。
思うのですが、いじめって、
想像力の欠如から起こるんじゃないかと思うのです。
自分がいじめられる側だったら?
自分の大切な人がいじめられていたら?
そうだったら、どう思う?
そんな思いを、自分は他の人間にさせているんだと言うことを、
想像できないがためにいじめるんじゃないだろうか。
それを教えてくれるのが、この本。『わたしのいもうと』
この絵本を読んだのは、買い物帰り、一人で食事しようと入った、
あるオムライス専門店でした。
とても可愛い、メルヘンな感じの店内のカウンターに、立てかけてあったこの絵本。
オムライスが来るまでの時間つぶしのつもりで、手に取りました。
女の子の後姿が描かれた、優しい印象の可憐な表紙。
作家は松谷みよ子さん。
子供の頃、この人の本をたくさん読んだせいなのか、
懐かしい大切な友達にあったような気がしました。
店内の印象に合わせるためのインテリアだったのか。
それとも何か店側のメッセージだったのか…。
この絵本はさりげなく置いてありました。
実話を元に作られたと言うこの絵本。
読みながら泣きました。オムライスを食べながら泣きました。
妹と、母、わたし(姉)の気持ちが切ないです。
転校がきっかけでいじめられるようになった、わたしの妹。
そして家に引篭もるようになります。
ところがいじめた子達は、いじめたことも、いじめたわたしの妹のことも、
その妹がどうしているかも忘れたかのように、中学生になり高校生になっていく。
そして迎えた、余りにも悲しい結末…。
どうしていじめってあるんでしょう?
いじめなんて無くなればいいのに。痛切にそう思いました。
いじめって、いじめた側には傷は残らない。
それはいじめるということで感情を表現しているから。
ですが、いじめられた側には深い傷が残る。
感情を押し殺して、表に現さないから。
そう、あるカウンセラーの方が言っていました。
自分の中にある鬱屈したものを、
傷つく言葉や冷たい態度という形で誰かに押し付けること。
それがいじめなのかもしれません。
いじめがどういうことか、この絵本は端的に教えてくれます。
そして、いじめている子にも、その子を大切に思っている人(家族など)がいる、
自分と同じ存在なのだと言うことを教えてくれます。
その子をいじめると言うことは、
その子を大切にしている人たちまで傷つけると言うことに、気づかせてくれます。
イギリスでは、いじめをしたら退学だという話を聞いたことがあります。
イギリスの学校に通っていた人に聞いてみると、
「そう言えばいじめってなかった」と言っていました。
そこまでしないと、いじめってなくならないのでしょうか?
じゃあ、今問われている、「いじめた人間を出席停止にする」と言う考え。
これはどう?
私も転校生だったから、この妹の気持ちが分かります。
小学校では転校生って目立つ存在で、
それ故に嫌な思いをしたことも多く、それがいじめに発展していったので。
なので、最初はこの本の結末が悲しくて、読まなければ良かったと思ったり。
手に取ったこの絵本は、薄汚れていました。
それだけ多くの人が手に取ったのだと思います。
その人達の心に、いじめがどんなことなのか浸透したことを、強く願っています。
(ISBN:4034380500 大型本 味戸 ケイコ 偕成社 ¥1,260)
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』読了
2006年9月28日 読書
ようやく読み終わったハリー・ポッターシリーズ
6作目の最新刊。
今回、図書館で予約した本がこの上下巻を入れて
4冊も届いてしまったので、読むのが大変でした。
この『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は、
予約してから半年くらい待って読むことが出来ました。
発売前から予約したにも関わらず、すでに予約者がたくさんいたからです。
読みたい本は購入するのが常の私ですが、
このハリー・ポッターシリーズ、どうも買うに気はならないのです。
ちなみに、今回の内容。
ハリーだけじゃなく、ロンやハーマイオニーにも、
そしてほかの友人達にも成長のあとが見られます。
このシリーズの楽しさは、ファンタジーとしての面白さ以上に、
登場人物の人間関係、キャラクターの良さにあると思います。
だからこうやって6作も根強いファンが居るんだと思うのですが、
どうもハリー・ポッターシリーズ、読んでいると楽しいけど、ノレないのです。
その原因は翻訳にあるのかな〜と思っています。
私の英語は文法こそそれなりですが、あまりにも単語力がないため、
原語では読んだ事ありません。
でも、原作の雰囲気はきっとこうじゃないだろうな、と思うこと度々。
ハリー・ポッターの世界は、どうやら90年代が舞台らしいのですが、
読んでいると言葉遣いがどうみても大昔。
ダンブルドア校長の話し方、ハリーの同級生たちが使う言葉。
90年代のものではありません。
これは魔法使いの世界と現実世界の違い? それにしては、ちょっと…。
日本語の文章も分かりづらい、おかしな箇所も結構あります。
翻訳の小説には確かに少なくはありませんが、読んでいて
「てにをは」について、アレ?と思うことはないんだけれど。
実際この翻訳者の方に会った事などありませんが、
この方のやり方には、疑問に思うことも多いのです。
いえ、最近の脱税疑惑とか、
上下2冊に分かれたハリポタシリーズはセットじゃなきゃ売らないとか、
本屋からの返品はしないとか(これはちょっとヒドイと思いますが)、
そういったことではありません。
あとがきに、随分と個人的なことを書きすぎるからです。
翻訳者があとがきを書くことは、多くの外国書で見られることです。
末尾2行くらい、個人的なことを書く翻訳者も居ます。
でも、この松岡さんは長すぎ。
今回の『謎のプリンス』でも、ご家族が亡くなった事を延々と書いています。
確かに、読者としてご冥福を祈りたい気持ちはあります。
翻訳者として、このシリーズにそれだけ思い入れがあると
言いたいのかも知れません。
でも、あとがきを個人的な場にするのは、好感持てなくて。
以前には、次回作のネタバレも堂々と書いてあったし。
今回のあとがきにも、それらしいことが書いてある。
シリーズ物の面白さを奪わないで欲しい!
読み勧めていくうちに分かる、ワクワク、ドキドキを大切にしたい。
本は、翻訳者が私的に扱っていいものじゃないことを分かって欲しい!
あとがきには、著者の近況や、今後最終作のスケジュールなど、
読者の知りたいことを中心に書いて欲しい。
読めば分かる様な内容の復唱なんて要らない。
それと…原作の雰囲気を忠実に踏まえて、
日本語としてスムーズな文に訳して欲しい!
原語で読んだ人の話だと、随分と違うとのこと。
登場人物の描写も、原作ではもっと知的でスマートな人物が多いのに、
子供向けに徹しているせいか、それが表現されていないらしい。
ハリー・ポッターシリーズは1年に1度ですから、
細かい事情を忘れていることも多いです。
そんな時、あらためて本を読むよりも、
むしろ映画を観た方がいいかも知れません。
かつて映画館で第1作、2作を観ましたが、観客に子供が多くて、
オトナなんだけどコドモみたいな人も結構居て、じっくり観れませんでした。
ハリポタシリーズが最終作を発表して、映画もシリーズ完了したら、
DVDで、自宅で一気に観たいです。
(ISBN:4915512576 単行本 松岡 佑子 静山社 2006/05/17 3,990)
6作目の最新刊。
今回、図書館で予約した本がこの上下巻を入れて
4冊も届いてしまったので、読むのが大変でした。
この『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は、
予約してから半年くらい待って読むことが出来ました。
発売前から予約したにも関わらず、すでに予約者がたくさんいたからです。
読みたい本は購入するのが常の私ですが、
このハリー・ポッターシリーズ、どうも買うに気はならないのです。
ちなみに、今回の内容。
前作の活躍で、一躍時の人となったハリー。
ハリーの活躍のお陰で父親がアズカバン送りとなったドラコは、
怪しい動きを見せ始める。
それを探るハリーは、スネイプがドラコの味方になっていると知るのです。
それをダンブルドア校長に報告しても、スネイプを信じる校長。
そして、事件は起こった…。
ハリーだけじゃなく、ロンやハーマイオニーにも、
そしてほかの友人達にも成長のあとが見られます。
このシリーズの楽しさは、ファンタジーとしての面白さ以上に、
登場人物の人間関係、キャラクターの良さにあると思います。
だからこうやって6作も根強いファンが居るんだと思うのですが、
どうもハリー・ポッターシリーズ、読んでいると楽しいけど、ノレないのです。
その原因は翻訳にあるのかな〜と思っています。
私の英語は文法こそそれなりですが、あまりにも単語力がないため、
原語では読んだ事ありません。
でも、原作の雰囲気はきっとこうじゃないだろうな、と思うこと度々。
ハリー・ポッターの世界は、どうやら90年代が舞台らしいのですが、
読んでいると言葉遣いがどうみても大昔。
ダンブルドア校長の話し方、ハリーの同級生たちが使う言葉。
90年代のものではありません。
これは魔法使いの世界と現実世界の違い? それにしては、ちょっと…。
日本語の文章も分かりづらい、おかしな箇所も結構あります。
翻訳の小説には確かに少なくはありませんが、読んでいて
「てにをは」について、アレ?と思うことはないんだけれど。
実際この翻訳者の方に会った事などありませんが、
この方のやり方には、疑問に思うことも多いのです。
いえ、最近の脱税疑惑とか、
上下2冊に分かれたハリポタシリーズはセットじゃなきゃ売らないとか、
本屋からの返品はしないとか(これはちょっとヒドイと思いますが)、
そういったことではありません。
あとがきに、随分と個人的なことを書きすぎるからです。
翻訳者があとがきを書くことは、多くの外国書で見られることです。
末尾2行くらい、個人的なことを書く翻訳者も居ます。
でも、この松岡さんは長すぎ。
今回の『謎のプリンス』でも、ご家族が亡くなった事を延々と書いています。
確かに、読者としてご冥福を祈りたい気持ちはあります。
翻訳者として、このシリーズにそれだけ思い入れがあると
言いたいのかも知れません。
でも、あとがきを個人的な場にするのは、好感持てなくて。
以前には、次回作のネタバレも堂々と書いてあったし。
今回のあとがきにも、それらしいことが書いてある。
シリーズ物の面白さを奪わないで欲しい!
読み勧めていくうちに分かる、ワクワク、ドキドキを大切にしたい。
本は、翻訳者が私的に扱っていいものじゃないことを分かって欲しい!
あとがきには、著者の近況や、今後最終作のスケジュールなど、
読者の知りたいことを中心に書いて欲しい。
読めば分かる様な内容の復唱なんて要らない。
それと…原作の雰囲気を忠実に踏まえて、
日本語としてスムーズな文に訳して欲しい!
原語で読んだ人の話だと、随分と違うとのこと。
登場人物の描写も、原作ではもっと知的でスマートな人物が多いのに、
子供向けに徹しているせいか、それが表現されていないらしい。
ハリー・ポッターシリーズは1年に1度ですから、
細かい事情を忘れていることも多いです。
そんな時、あらためて本を読むよりも、
むしろ映画を観た方がいいかも知れません。
かつて映画館で第1作、2作を観ましたが、観客に子供が多くて、
オトナなんだけどコドモみたいな人も結構居て、じっくり観れませんでした。
ハリポタシリーズが最終作を発表して、映画もシリーズ完了したら、
DVDで、自宅で一気に観たいです。
(ISBN:4915512576 単行本 松岡 佑子 静山社 2006/05/17 3,990)
帰宅途中のバスの中で、ハリー・ポッター最新作を読んでいる人発見。
そうだ、今日発売日だった。
ネット情報によれば、どこかで行列が出来たとか。
近作が6作目。
7作で完結なので、今回は内容に大きな動きがありそう、に思います。
今のところ、ハリー・ポッターシリーズは全部読んでいます。
でも、買って読もう!と言うほどの気持ちにはならなくて。
いつも図書館で長いこと待って読んでいます。
ちなみに、私はロンが好き(*^_^*)
バスの中では、2人掛けの窓際に座っていました。
私の横に、同年代の女性が座り、すぐに文庫本を取り出して読んでいました。
こういうの、気になるタイプ(笑)。
何読んでるんだろう? 面白いのかな?
そうなら今度読んでみたいから、軽くタイトルなどチェック。
すると、『ダ・ヴィンチ・コード』中巻でした。
読んだ読んだ、これ!
自分が読んだ本を読んでいる人を見ると、妙に親近感が沸く。
一心不乱に読んでいる。確かに一番面白いところだと思います。
私も先日読み終わったんですが、『ダ・ヴィンチ・コード』、
結末に私、「へ?」って思って拍子抜けしたんです。
それまでのハラハラ感が、唐突な解決でぷっつり切れちゃったから。
この人が犯人かな? まさかそんな分かりやすい…って思っていたら、
本当にその人だったし、キリストの秘密も、これなの?
全体的に、こんな終り方なの??? って。
先日カンヌ国際映画祭でも上映されて、ネット情報によると失笑が漏れていたとか。
映画にするのには難しい作品だと思うんです。
宗教的な謎解き映画にするか、それをめぐる現在のサスペンスにするか。
小説では両立させていたけれど、映画でそれを両立させるようとすると、
膨大で表現が雑な内容になるような気がします。
好きな方、満足された方もいると思います。
もちろん、これはあくまでも私個人の感想です。
これから夏に掛けて、話題作が続々と公開されますね。
映画『ダ・ヴィンチ・コード』、20日から公開。
観に行くかどうか…。多分、DVD待ちになりそう。
そうだ、今日発売日だった。
ネット情報によれば、どこかで行列が出来たとか。
近作が6作目。
7作で完結なので、今回は内容に大きな動きがありそう、に思います。
今のところ、ハリー・ポッターシリーズは全部読んでいます。
でも、買って読もう!と言うほどの気持ちにはならなくて。
いつも図書館で長いこと待って読んでいます。
ちなみに、私はロンが好き(*^_^*)
バスの中では、2人掛けの窓際に座っていました。
私の横に、同年代の女性が座り、すぐに文庫本を取り出して読んでいました。
こういうの、気になるタイプ(笑)。
何読んでるんだろう? 面白いのかな?
そうなら今度読んでみたいから、軽くタイトルなどチェック。
すると、『ダ・ヴィンチ・コード』中巻でした。
読んだ読んだ、これ!
自分が読んだ本を読んでいる人を見ると、妙に親近感が沸く。
一心不乱に読んでいる。確かに一番面白いところだと思います。
私も先日読み終わったんですが、『ダ・ヴィンチ・コード』、
結末に私、「へ?」って思って拍子抜けしたんです。
それまでのハラハラ感が、唐突な解決でぷっつり切れちゃったから。
この人が犯人かな? まさかそんな分かりやすい…って思っていたら、
本当にその人だったし、キリストの秘密も、これなの?
全体的に、こんな終り方なの??? って。
先日カンヌ国際映画祭でも上映されて、ネット情報によると失笑が漏れていたとか。
映画にするのには難しい作品だと思うんです。
宗教的な謎解き映画にするか、それをめぐる現在のサスペンスにするか。
小説では両立させていたけれど、映画でそれを両立させるようとすると、
膨大で表現が雑な内容になるような気がします。
好きな方、満足された方もいると思います。
もちろん、これはあくまでも私個人の感想です。
これから夏に掛けて、話題作が続々と公開されますね。
映画『ダ・ヴィンチ・コード』、20日から公開。
観に行くかどうか…。多分、DVD待ちになりそう。
今少しだけはまり気味…(劇団ひとり)
2006年4月8日 読書
私が良く参考にするブックレビューに、
『王様のブランチ』のブックナビがあります。
実際、コミックの『のだめカンタービレ』に
はまったきっかけもこれ。
司会の寺脇康文さんが
「女優の戸田惠子さんに薦められて読んだら、
すっかりはまった」と言っていて、
少女マンガなのに男性もはまるなんて…と
興味を持ったのが読み始めたきっかけでした。
先週の特集(インタビュー)は私の大好きな漫画家、浦沢直樹さんでした。
作品は良く知っているけど、ご本人については全然知らなかったのですが、
漫画家になる以前はギタリスト(バンドマン)だったそうで、
そう言われれば『20世紀少年』の主人公も、
夢を諦めてコンビニを経営している元ギタリストでした。
今日のブックナビのコーナーの特集は、劇団ひとりさん。
出版した短編集『陰日向に咲く』が現在ベストセラーになり、
来年の本屋大賞受賞か?などと言われているそうです。
これ、先月読んだのですが、実際本当に良かったです。
劇団ひとりと言う人を、見直したというか、現在注目しています。
この人を以前テレビで観た時は、女性陣に囲まれて泣いていました。
というか、うまく泣けなくて「泣いてない!」などと
杉本彩さん(だったと思うのですが)など何人かの女性陣に
強く言われて、困った様子でした。
「泣く」のが芸のひとつなのか、「楽屋では泣けるのに〜」と
言っているのが印象的でした。
なので、どんな芸人さんなのか、イマイチ分からなかったのですが、
この本の表紙によると、「ひとりで何十人ものキャラクターを演じ分ける」芸らしい。
だから「劇団ひとり」なんだなあ…。
ホームレスに憧れて本当にホームレスになるサラリーマン。
グラビアアイドルに本気で恋をするオタクくん。
いいな、と思ったらすぐに男と寝てしまう20歳の女の子。
ギャンブル狂が高じて借金返済にオレオレ詐欺を企てる35歳の男。
芸人を目指しながら芽が出ず、ストリップ劇場の司会をしているコメディアン。
自分から程遠いところに居る登場人物でも、
とてもリアリティがあり、共感できます。
『陰日向に咲く』は、劇団ひとりさんの実際の経験が生きているんだそうです。
4篇目にはギャンブルにはまる男が出てきます。
私はこれがこの短編集の中で一番好きなのですが、
劇団ひとりさんも競馬にはまったのもこの登場人物と同じで、
さらに借金を返せなくて、限度額一杯まで借りたサラ金が、5社あったそうです。
リアリティあるはずですね。実体験を生かしているんですから。
これを観て、ますます“劇団ひとりの演じ分け芸”を観たいと思うのですが、
なかなかどうしてテレビで観ることができない。
昨日も新聞をチェックしたのですが、お笑い番組はあるけれど、
劇団ひとりさんの名前を見つけられませんでした。
実を言えば芸よりも、2作目の小説が楽しみなんですけれどね、
『王様のブランチ』でのインタビューによれば、まだまだ掛かりそう。
(ISBN:4344011023 単行本 劇団ひとり 幻冬舎 2006/01 ¥1,470)
『王様のブランチ』のブックナビがあります。
実際、コミックの『のだめカンタービレ』に
はまったきっかけもこれ。
司会の寺脇康文さんが
「女優の戸田惠子さんに薦められて読んだら、
すっかりはまった」と言っていて、
少女マンガなのに男性もはまるなんて…と
興味を持ったのが読み始めたきっかけでした。
先週の特集(インタビュー)は私の大好きな漫画家、浦沢直樹さんでした。
作品は良く知っているけど、ご本人については全然知らなかったのですが、
漫画家になる以前はギタリスト(バンドマン)だったそうで、
そう言われれば『20世紀少年』の主人公も、
夢を諦めてコンビニを経営している元ギタリストでした。
今日のブックナビのコーナーの特集は、劇団ひとりさん。
出版した短編集『陰日向に咲く』が現在ベストセラーになり、
来年の本屋大賞受賞か?などと言われているそうです。
これ、先月読んだのですが、実際本当に良かったです。
劇団ひとりと言う人を、見直したというか、現在注目しています。
この人を以前テレビで観た時は、女性陣に囲まれて泣いていました。
というか、うまく泣けなくて「泣いてない!」などと
杉本彩さん(だったと思うのですが)など何人かの女性陣に
強く言われて、困った様子でした。
「泣く」のが芸のひとつなのか、「楽屋では泣けるのに〜」と
言っているのが印象的でした。
なので、どんな芸人さんなのか、イマイチ分からなかったのですが、
この本の表紙によると、「ひとりで何十人ものキャラクターを演じ分ける」芸らしい。
だから「劇団ひとり」なんだなあ…。
ホームレスに憧れて本当にホームレスになるサラリーマン。
グラビアアイドルに本気で恋をするオタクくん。
いいな、と思ったらすぐに男と寝てしまう20歳の女の子。
ギャンブル狂が高じて借金返済にオレオレ詐欺を企てる35歳の男。
芸人を目指しながら芽が出ず、ストリップ劇場の司会をしているコメディアン。
自分から程遠いところに居る登場人物でも、
とてもリアリティがあり、共感できます。
『陰日向に咲く』は、劇団ひとりさんの実際の経験が生きているんだそうです。
4篇目にはギャンブルにはまる男が出てきます。
私はこれがこの短編集の中で一番好きなのですが、
劇団ひとりさんも競馬にはまったのもこの登場人物と同じで、
さらに借金を返せなくて、限度額一杯まで借りたサラ金が、5社あったそうです。
リアリティあるはずですね。実体験を生かしているんですから。
これを観て、ますます“劇団ひとりの演じ分け芸”を観たいと思うのですが、
なかなかどうしてテレビで観ることができない。
昨日も新聞をチェックしたのですが、お笑い番組はあるけれど、
劇団ひとりさんの名前を見つけられませんでした。
実を言えば芸よりも、2作目の小説が楽しみなんですけれどね、
『王様のブランチ』でのインタビューによれば、まだまだ掛かりそう。
(ISBN:4344011023 単行本 劇団ひとり 幻冬舎 2006/01 ¥1,470)
ちょっとだけ思うこと
2006年1月28日 読書今日は出張疲れのため、家でのんびり過ごすことに。
出張前に買って置いた2冊、じっくりと読んでみよう。
1冊は『夜市』。
新人のデビュー作にして、ホラー大賞受賞作。
そして直木賞候補作品。
ホラーって書くとおどろおどろしいけど、そんなこと決してありません。
同時収録の「風の古道」もそうだけど、むしろ淡々とした穏やかな文章で、
内容も夜市、古道と古くからある日本的なものを現代風に上手くアレンジした、
ファンタジックなものになっています。
ラストは秀逸で、読み終わった後には切なさすら感じました。
2冊目は、予告どおり『容疑者Xの献身』。
6度目の正直で東野圭吾さんが直木賞を受賞した作品。
ラストに泣けました。
トリックも冴えていて推理小説としても、
優秀だけど不器用な男が女に対する純愛小説としても、
どちらとしても読めました。
思ったのですが、このブログでは、
読んだ本の感想はこの程度に納めておこうかと思います。
読んだ本、観たDVD、聞いたCD。
そういったものは別のブログにこれから書いていこうかな、と
今考えています。
特に文章を書くことは苦手ではないのです。
なので、他にブログを持っても楽しいかな、なんて思い始めています。
ここでは本当に、取るに足らない日常を。
別のところでは、好きな本や映画や音楽を。
そんな風に自分の中で「イロ」をつけてブログを楽しんでいこうかな。
そう思っています。
今はどのブログにしようか、考え中。
このダイアリーノートも使いやすいし、本の画像も簡単にUPできるし、
いいと思ったのですが、一旦ログアウトしないと
別のIDで持てないみたいなので、そこがちょっと面倒で^^;
すぐにログインできる状態って、やっぱり便利です。
自分の読んだ本などを気ままに綴っておける感想ノート。
近々別のブログを始めたら、上部の[HOME]でリンクできるし、
その時はどうぞ読んでいただければと思います。
出張前に買って置いた2冊、じっくりと読んでみよう。
1冊は『夜市』。
新人のデビュー作にして、ホラー大賞受賞作。
そして直木賞候補作品。
ホラーって書くとおどろおどろしいけど、そんなこと決してありません。
同時収録の「風の古道」もそうだけど、むしろ淡々とした穏やかな文章で、
内容も夜市、古道と古くからある日本的なものを現代風に上手くアレンジした、
ファンタジックなものになっています。
ラストは秀逸で、読み終わった後には切なさすら感じました。
2冊目は、予告どおり『容疑者Xの献身』。
6度目の正直で東野圭吾さんが直木賞を受賞した作品。
ラストに泣けました。
トリックも冴えていて推理小説としても、
優秀だけど不器用な男が女に対する純愛小説としても、
どちらとしても読めました。
思ったのですが、このブログでは、
読んだ本の感想はこの程度に納めておこうかと思います。
読んだ本、観たDVD、聞いたCD。
そういったものは別のブログにこれから書いていこうかな、と
今考えています。
特に文章を書くことは苦手ではないのです。
なので、他にブログを持っても楽しいかな、なんて思い始めています。
ここでは本当に、取るに足らない日常を。
別のところでは、好きな本や映画や音楽を。
そんな風に自分の中で「イロ」をつけてブログを楽しんでいこうかな。
そう思っています。
今はどのブログにしようか、考え中。
このダイアリーノートも使いやすいし、本の画像も簡単にUPできるし、
いいと思ったのですが、一旦ログアウトしないと
別のIDで持てないみたいなので、そこがちょっと面倒で^^;
すぐにログインできる状態って、やっぱり便利です。
自分の読んだ本などを気ままに綴っておける感想ノート。
近々別のブログを始めたら、上部の[HOME]でリンクできるし、
その時はどうぞ読んでいただければと思います。
『探偵ガリレオ』東野圭吾(文春文庫刊)
2006年1月22日 読書警視庁捜査一課勤務の刑事・草薙俊平と、その友人の帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。このふたりがまるでオカルトさながらの難事件を、科学の力で解いていく、連作短編集。
こちらも出張中に読もうと図書館から借りた本です。
今回6回目の正直で直木賞を受賞された東野さんですが、
受賞作『容疑者Xの献身』に登場するのがこの湯川助教授と聞き、
こちらを先に読んで見ようと思い、
『容疑者Xの献身』は購入したものの、まだ読んでいません。
まず読んでまっさきに思ったのが、
私がハマっていたドラマ『トリック』みたいだ、ということです。
この点に関しては反対意見も多いと思うのですが、
この小説が文系の人間から観るとオカルトにしか見えない事件
(池に浮かぶデスマスク、幽体離脱した少年など)が、科学によって解明される。
ドラマ『トリック』では、それがマジックで解明できるという点で、
似通った部分があると思いました。
きちんと細かい点まで解明されているし、
犯人の心理も説明がきちんとなされていて、
読んでいて気持ちが良かったです。
刑事の草薙さんと、物理学助教授の湯川さん。
この二人の友人関係も微笑ましく羨ましいくらい。
謎解きとしては、文系の私は全くダメでした(苦笑)。
理系出身の東野さんらしい作品だと思います。
短編の上手な作家さんっていいですね。
宮部みゆきさん、乃南アサさんなどの作家さんは、
長編が有名ですが短編もさすが!の出来です。
特に勤務途中に読むのには、短編は最適だと思います。
会社に着くまでに1篇丁度読めたりすると、
続きが気になってしまうなんてことがありませんよね(← 私だけ?)
もう1作、『容疑者Xの献身』に繋がる作品があるのですが、
それは後日に置いておいて^^;
そろそろ直木賞受賞作を読み始めようと思います。
(ISBN:4167110075 文庫 東野 圭吾 文藝春秋 2002/02 ¥540)
『宿命』東野圭吾(講談社文庫刊)
2006年1月21日 読書子供の頃偶然に出会った2人の少年。
小学校から高校まで同級生だったが、お互いがお互いを意識しあいながら、どうしても親しくなれなかった。
成長し、刑事と殺人事件の容疑者として、
目に見えない糸に手繰り寄せられるかのように2人は再会する。
そして容疑者の妻となっていた女性は、かつて刑事が唯一愛した女性だった。
出張で、空港で飛行機の中で読もうと思い、
荷物にならないよう図書館から借りてきた文庫本です。
東野圭吾さんの作品は、デビュー作から読んでいます。
正直言うと、デビューから数年の作品はあまり好きではありません。
しばらく遠ざかっていたのですが、
今期ドラマ化された『白夜行』が刊行されてからは、
殆どを読んでいます。
転機となったのは、この作品ではないかと思います。
推理小説というジャンルにこだわらず、
心理的な描写に力が入るようになった。
言い換えれば、犯罪のトリックよりも、
罪を犯すその心理や、追い詰める側の心理の描写が細やかで、
まさにストーリーテラーと言う言葉が的確だと思います。
金銭的に恵まれ将来を約束されて居た優秀な少年。
だが周囲に心を開くことはなかった。
金銭的には恵まれなかった少年。
明るい彼の周囲にはいつも友人が居た。
優秀だがどうしても、1番になることは出来なかった。
お互い、自分ににないものを持つ相手を意識しあい、
長い年月の間忘れることはなかったものの、
大切なものを失い、または背負いながらここまで生きてきた。
それが殺人事件と一人の女性を通じてまた出会う。
そして殺人事件の犯人と、二人の関係。
「宿命」とは、自分の力ではどうしようもない
大きなものを指すのでしょう。
読み終わったあと、私は後味が悪かったです。
最後には結局全てを手に入れた者と、
“全敗”と内心思う、欲しいものは何も手に入れられなかった者。
私自身が運の悪いほうなので、
後者に無意識のうちに肩入れしていたみたい^^;
何しろ、資格試験の勉強をしていれば、
当初1点不足で落ち、次回は必ず合格できると思っていたら、
試験体制自体が大幅に変更。
試験を受けるどころか再勉強。
試験当日は怪我をする。
最近ではそんな感じですが、もっともっとあるんですよ、
不運バナシ(泣笑)。
東野さんの最近の作品と比べると、展開や文体がやはり違います。
デビューからずっと代わらない作家も居るけれど、
こうやって進化し続ける凄さ。
東野さんファンならば、読んでみて欲しい1冊です。
ラストの1行が書きたくて、この作品が出来たそうです。
くれぐれもラストを先に読まないよう、ご注意くださいね。
(ISBN:4061854445 文庫 東野 圭吾 講談社 1993/07 ¥650)
『福音の少年』 あさのあつこ(角川書店刊)
2006年1月12日 読書
アマゾンなどでも読者レビューの評価が高いこの作品。
作者あさのあつこさんは『バッテリー』が有名ですが、
私は読んだことがありません。
ですが、現在4巻まで刊行されている
『No.6』の続きを楽しみにしているくらい、
最近好きになった作家さんです。
図書館で予約をしていたのですが、順番が来るのをとても楽しみにしていました。
内容はといえば、
アサヒ・コーポというアパートが全焼、9人が亡くなります。
その被害者の一人、女子高生・藍子の幼馴染の陽と、藍子と交際していた明帆は、
この火事が事故ではなく、故意に仕掛けられたものだと知ります。
そしてその原因は藍子にあることも。
犯人は誰か? 動機は? そして藍子に隠された秘密は?
…と書くと、ミステリーのように思われますが、ミステリーではありません。
犯人、動機、藍子の秘密。
その解明までの道のりがミステリーの醍醐味のひとつならば、
いずれも全て想像通りだったことからも、決してミステリーとは言えません。
『No.6』もそうだったんですが、
2人の少年が自分に欠けている部分をお互いに補い、
時に反発しあいながら次第に親密さを増して行く、
友情と言うには不器用すぎるその過程が主に描かれています。
恐らく藍子の死も、その解明も、そのきっかけにしか過ぎないのでは?
読み終わった第一の感想は、“続編が出来るんじゃないかな?”
と言うか、出来て欲しいと思っています。
「なぜ?」「どうして?」「この後どうなるの?」「どうなったの?」が
あまりにも多すぎるからです。
その文脈の中の空白を自分の中で補うことが好きな人にとっては、
評価が高い1冊になると思うのですが、
自分の抱いた「なぜ?」がきちんと描かれ、
さらにその理由・原因に納得できる小説が好きな私にとっては、
正直言って消化不良気味。
これから2人の少年達の関係を描くためのプロローグのように思えました。
そしてもうひとつ。
藍子に固執する人間は2人の少年だけではありませんでした。
彼らにそこまで思わせる藍子の魅力を、きちんと描いて欲しいと思っています。
結構批判的に書いていますが、
それでもあさのあつこさんの小説に対する期待は大きいです。
これからも読んでみたいと、楽しみにしている作家さんの一人です。
(ISBN:4048736310 単行本 あさの あつこ 角川書店 2005/07/20 ¥1,470)
作者あさのあつこさんは『バッテリー』が有名ですが、
私は読んだことがありません。
ですが、現在4巻まで刊行されている
『No.6』の続きを楽しみにしているくらい、
最近好きになった作家さんです。
図書館で予約をしていたのですが、順番が来るのをとても楽しみにしていました。
内容はといえば、
アサヒ・コーポというアパートが全焼、9人が亡くなります。
その被害者の一人、女子高生・藍子の幼馴染の陽と、藍子と交際していた明帆は、
この火事が事故ではなく、故意に仕掛けられたものだと知ります。
そしてその原因は藍子にあることも。
犯人は誰か? 動機は? そして藍子に隠された秘密は?
…と書くと、ミステリーのように思われますが、ミステリーではありません。
犯人、動機、藍子の秘密。
その解明までの道のりがミステリーの醍醐味のひとつならば、
いずれも全て想像通りだったことからも、決してミステリーとは言えません。
『No.6』もそうだったんですが、
2人の少年が自分に欠けている部分をお互いに補い、
時に反発しあいながら次第に親密さを増して行く、
友情と言うには不器用すぎるその過程が主に描かれています。
恐らく藍子の死も、その解明も、そのきっかけにしか過ぎないのでは?
読み終わった第一の感想は、“続編が出来るんじゃないかな?”
と言うか、出来て欲しいと思っています。
「なぜ?」「どうして?」「この後どうなるの?」「どうなったの?」が
あまりにも多すぎるからです。
その文脈の中の空白を自分の中で補うことが好きな人にとっては、
評価が高い1冊になると思うのですが、
自分の抱いた「なぜ?」がきちんと描かれ、
さらにその理由・原因に納得できる小説が好きな私にとっては、
正直言って消化不良気味。
これから2人の少年達の関係を描くためのプロローグのように思えました。
そしてもうひとつ。
藍子に固執する人間は2人の少年だけではありませんでした。
彼らにそこまで思わせる藍子の魅力を、きちんと描いて欲しいと思っています。
結構批判的に書いていますが、
それでもあさのあつこさんの小説に対する期待は大きいです。
これからも読んでみたいと、楽しみにしている作家さんの一人です。
(ISBN:4048736310 単行本 あさの あつこ 角川書店 2005/07/20 ¥1,470)
『対岸の彼女』 角田光代(文芸春秋社刊)
2005年12月4日 読書
生まれて初めてのブックレビュー(大げさ〜!)は、
今日図書館から借りて1日で読んでしまった、
直木賞受賞の本作品に。
この作品の内容を簡単にまとめると、
共通点は同じ大学を卒業した同い年という、2人の女性。
でも、一人は独身で小さいながらも会社社長、
もう一人は既婚で子持ち、専業主婦暦数年。
対照的な立場の二人が、友情を築いていく話です。
小川洋子さんについて、
「この作家を今まで知らなかったのが悔しい」
ある知人がそう言った事があります。
同じことを、この作品を読んだ第一の感想として抱きました。
「最近になって知った。しゃべることは、気持ちいいのだ。義母のことも、夫の不要な発言も、口に出せば喜劇性を帯び、すぐに忘れられる。言わずにためこむと、些細なことがとたんに重い意味を持ち、悲劇性と深刻味を帯びる」
人に話せば心が軽くなる。
それは万人が分かっていることだろうと思うけど、
これほど明確に説明してある文章を書ける人。
角田さんの小説を今まで読まなかったことを、
悔しく思った瞬間でした。
「小学生のようないじめをするほど幼稚ではないが、けれど何かむしゃくしゃする、人を見下し順列をつけ優位に立ちたい。そんな気分が、どこにも出口を見つけられないまま鬱屈していっている」
上記の文章や女子高生の心中未遂事件も関わる展開に、
私にはなかなか理解できない、いじめや集団自殺の心理が、
この小説を読んで理解できたような気がしました。
例えば唯川恵さんや山本文緒さん。
ちょっとコピーっぽく言えば
「現代女性の心理をリアルに描く」女性作家は多いですが、
実を言えば私は余り共感できませんでした。
登場人物(特に主人公)の心理には納得できても、
環境やキャラクターに共感できないからだと思います。
でもこの角田光代さんのこの小説には、
登場する人物に自分と重なる部分があって、
とても現実味を感じました。
主人公の一人、女性社長は最後に、大きな裏切りを受けます。
でも、その先に大切なものを得て、さらに前進しようとします。
「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」
そう、きっと、それはこんなことを言ってくれる存在…友達。
「ねえ、アオちん、あんな場所でなんにもこわがることなんかないよ。もしアオちんの言うとおり、順番にだれかがハブられていったとしても、その順番がアオちんになったとしても、あたしだけは絶対にアオちんの味方だし、できるかぎり守ってあげる。ね、みんなが無視したって、たったひとりでも話してくれたらなんにもこわいことなんかないでしょ?」
こう言ってくれた人とは離れてしまったけど、
そんな人が居たから、今の自分が居る。
そしてまた目の前に、同じように思える思ってくれる存在が現れた。
お互い、守り守られる存在。
そんな人が身近に居ますか?と聞かれると、
私は「居ます」とは残念ながら答えられません。
でも、自分らしくあるがままに生きることで、
きっと見つけられるのではないかと、そう思いました。
(ISBN:4163235108 単行本 角田 光代 文藝春秋 2004/11/09 ¥1,680)
今日図書館から借りて1日で読んでしまった、
直木賞受賞の本作品に。
この作品の内容を簡単にまとめると、
共通点は同じ大学を卒業した同い年という、2人の女性。
でも、一人は独身で小さいながらも会社社長、
もう一人は既婚で子持ち、専業主婦暦数年。
対照的な立場の二人が、友情を築いていく話です。
小川洋子さんについて、
「この作家を今まで知らなかったのが悔しい」
ある知人がそう言った事があります。
同じことを、この作品を読んだ第一の感想として抱きました。
「最近になって知った。しゃべることは、気持ちいいのだ。義母のことも、夫の不要な発言も、口に出せば喜劇性を帯び、すぐに忘れられる。言わずにためこむと、些細なことがとたんに重い意味を持ち、悲劇性と深刻味を帯びる」
人に話せば心が軽くなる。
それは万人が分かっていることだろうと思うけど、
これほど明確に説明してある文章を書ける人。
角田さんの小説を今まで読まなかったことを、
悔しく思った瞬間でした。
「小学生のようないじめをするほど幼稚ではないが、けれど何かむしゃくしゃする、人を見下し順列をつけ優位に立ちたい。そんな気分が、どこにも出口を見つけられないまま鬱屈していっている」
上記の文章や女子高生の心中未遂事件も関わる展開に、
私にはなかなか理解できない、いじめや集団自殺の心理が、
この小説を読んで理解できたような気がしました。
例えば唯川恵さんや山本文緒さん。
ちょっとコピーっぽく言えば
「現代女性の心理をリアルに描く」女性作家は多いですが、
実を言えば私は余り共感できませんでした。
登場人物(特に主人公)の心理には納得できても、
環境やキャラクターに共感できないからだと思います。
でもこの角田光代さんのこの小説には、
登場する人物に自分と重なる部分があって、
とても現実味を感じました。
主人公の一人、女性社長は最後に、大きな裏切りを受けます。
でも、その先に大切なものを得て、さらに前進しようとします。
「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」
そう、きっと、それはこんなことを言ってくれる存在…友達。
「ねえ、アオちん、あんな場所でなんにもこわがることなんかないよ。もしアオちんの言うとおり、順番にだれかがハブられていったとしても、その順番がアオちんになったとしても、あたしだけは絶対にアオちんの味方だし、できるかぎり守ってあげる。ね、みんなが無視したって、たったひとりでも話してくれたらなんにもこわいことなんかないでしょ?」
こう言ってくれた人とは離れてしまったけど、
そんな人が居たから、今の自分が居る。
そしてまた目の前に、同じように思える思ってくれる存在が現れた。
お互い、守り守られる存在。
そんな人が身近に居ますか?と聞かれると、
私は「居ます」とは残念ながら答えられません。
でも、自分らしくあるがままに生きることで、
きっと見つけられるのではないかと、そう思いました。
(ISBN:4163235108 単行本 角田 光代 文藝春秋 2004/11/09 ¥1,680)