会社までの交通機関として、自宅からバスで最寄の地下鉄、
そこから会社の最寄駅まで行って、その後は徒歩。

いつも同じ時間に同じ場所で乗り降りしていると、
バス停でも地下鉄乗り場でもバスの中でも(地下鉄の中はそうでもない)、
何となく“いつものメンバー”になって来ます。
かといって、挨拶を交わすような仲になる訳でもないんですが。

そんな“いつものメンバー”以外にもたくさん居る
公共交通機関の利用者の中に、何となく気になる人がいます。

免疫が出来るのか、よく一緒に利用するいつもの顔ぶれなら
「ああ、またヘンなことやってる、このオッサン」で済むので
気にも留めないのですが、いつも見かけない顔ぶれだと印象深い。

例えば。

その時は春先で、北国の春ですから日差しも眩しくもなく、ましてやバスの中。
必要とも思えないのに、若い男性がサングラスを掛けている。

妙に目立っているのは、通勤途中の会社員や病院へ行くお年寄りが多い中、
まるで街中で女性に声を掛けて店に連れて行こうとするホストのような、
お洒落系で少し着崩したスーツ姿。ネクタイはナシ。全体的に疲労感が漂っている。

ま、疲労感は普通の会社員でも、朝から漂わせていますけれどね。

私は、出口に近い窓際の、1人掛けの席に坐っているこの男性の
傍に立っていましたが、ふと、目線を下にやると、この男性の目から、
涙がツツ…と流れるのが見えました。

男性はまっすぐ前を向き、無表情のまま、涙を拭おうともせず。
上から見ているのでよく分からないのですが、目線もどこか虚ろな様子。

駅についてからはしっかりした足取りでしたが、何があったのでしょうか?

他にも。

地下鉄の中で携帯をいじっている子。珍しくもありません。
地下鉄内でもポスターが張ってあったり、放送が掛かったりしますが、
気にせずに携帯をいじっている。

それを注意するのは、もしかしたら近くに、ペースメーカーをつけている人が
いるかも知れない以上、正しいことではあるのですが、その注意の仕方。

ある中年の男性が地下鉄の中を行ったり来たりしている。時間は21時くらい。
坐れる席を探しているのかといえば、空いている席があちらこちらにある以上、
そうではないのは明らかで。

???と思っていたら、携帯をいじっている女子大生に声を掛けた。
「お嬢さん、ここは地下鉄です。周囲の迷惑になりますから、止めて下さい。」

御尤もな内容ですが、言い方がコワイ。
一本調子で、感情が感じられない。ただ、声だけはとても大きい。そして表情。
じいいいっと眼鏡越しに相手を見る目にも表情にも、感情が感じられない。

注意された女子大生も、驚いたというよりも怯えた様子で、
「は、はい」とすぐに携帯をしまいます。

その後は今度は中年の女性にも同じように注意する。
やっぱり、一本調子で大声で、無感情な感じで。

隣の車両に行っても、大声なので、声が聞こえる。
どうやら注意するために車両を往復しているらしい。

その後数回、この人を見ました。注意している場面は、携帯をいじっている人が
周囲にいなかったから見ていないけど、同じように車両を往復していました。

この人が印象的なのは、その口調や表情。失礼ながら、ロボットみたいだった。

でも、この人は言葉遣いは丁寧だし、何度も往復していても、
邪魔にならないようにしているから、とても常識的な人なんだと
思いますが、別の人は…。

男子高校生が携帯をいじっているのを見た、ある20代後半くらいの男性。
隣の車両に居る私にも聞こえるくらいのこちらも大声で
「周囲の迷惑になってんだろ〜!」と注意したのはいいけれど、
この人、大きなスーツケースを通路にドドン!と置いている。
…他の人が通れないんですけど!
足も大きく広げて、2人分の席を使用している。
…立っている人が、坐りたがっているんですけど!

正直思いました。アンタも周囲に迷惑掛けてるんじゃない?

それからが大笑い。
この男子高校生、「俺だけじゃないだろうが!」とオマヌケな事を言い、
注意した男性が「なんだと〜!(これだけ)」の繰り返し。

注意した男性の隣に坐って居た年配の女性が、更に注意して終ったのでした。

気のせいか最近、地下鉄内で携帯をいじっている人を見なくなりました。
こういった人たちのお陰なのかもしれません。

そして今日。

相変わらず、通勤途中のOLやサラリーマン、病院へ行く様子のお年寄りの中、
浴衣を着た40代くらいの女性が。

スーツなどが多い中、やはり浴衣は目立ちますが、それだけじゃない、
何となく違和感ある着こなしでした。

今の浴衣のトレンドは、巾着などを合わせるのではなく、
カゴバッグなんだそうですが、この人が手にしているのは、
底や持ち手が皮革製、本体が麻、形が正方形の普通の通勤トートバッグ。

浴衣の場合、下駄には裸足じゃないかと思うのですが、レース製の足袋。

確かにここ数年、浴衣を夏以外にも着こなすという動きがある、
というのは聞いていました。それを否定するつもりはありません。

私は、やっぱり浴衣は夏だけに着たいですけれどね。
浴衣に足袋というのは、夏以外に着る場合だけにして貰えないかなあ。

それに何より申し訳ないけれど、こういう新しい着こなしは、
違和感なく着られる世代や個性があるような。

この人たちにどんな事情や考え方があるか判らないのですが、
色んな人がいるという事実を、こんなトコで認識したりします。

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