しばらく続いていた、いじめによる自殺の報道、
少し落ち着いてきましたね。
こういったニュースは、テレビで聞いていて、
新聞やネットで見て、とてもとてもつらかったです。

実を言えば…。私もいじめられた経験があるから。
それも、かなりヒドイいじめ。

どれくらいひどかったのか…については、
思い出したくないし、書きたくない。書けない。

だから理解できます。いじめられた末に、自殺を選ぶ気持ち。

思うのですが、いじめって、
想像力の欠如から起こるんじゃないかと思うのです。

自分がいじめられる側だったら? 
自分の大切な人がいじめられていたら?
そうだったら、どう思う?
そんな思いを、自分は他の人間にさせているんだと言うことを、
想像できないがためにいじめるんじゃないだろうか。

それを教えてくれるのが、この本。『わたしのいもうと』

この絵本を読んだのは、買い物帰り、一人で食事しようと入った、
あるオムライス専門店でした。
とても可愛い、メルヘンな感じの店内のカウンターに、立てかけてあったこの絵本。
オムライスが来るまでの時間つぶしのつもりで、手に取りました。

女の子の後姿が描かれた、優しい印象の可憐な表紙。
作家は松谷みよ子さん。
子供の頃、この人の本をたくさん読んだせいなのか、
懐かしい大切な友達にあったような気がしました。

店内の印象に合わせるためのインテリアだったのか。
それとも何か店側のメッセージだったのか…。

この絵本はさりげなく置いてありました。

実話を元に作られたと言うこの絵本。
読みながら泣きました。オムライスを食べながら泣きました。
妹と、母、わたし(姉)の気持ちが切ないです。

転校がきっかけでいじめられるようになった、わたしの妹。
そして家に引篭もるようになります。
ところがいじめた子達は、いじめたことも、いじめたわたしの妹のことも、
その妹がどうしているかも忘れたかのように、中学生になり高校生になっていく。
そして迎えた、余りにも悲しい結末…。

どうしていじめってあるんでしょう?
いじめなんて無くなればいいのに。痛切にそう思いました。

いじめって、いじめた側には傷は残らない。
それはいじめるということで感情を表現しているから。
ですが、いじめられた側には深い傷が残る。
感情を押し殺して、表に現さないから。
そう、あるカウンセラーの方が言っていました。

自分の中にある鬱屈したものを、
傷つく言葉や冷たい態度という形で誰かに押し付けること。
それがいじめなのかもしれません。

いじめがどういうことか、この絵本は端的に教えてくれます。
そして、いじめている子にも、その子を大切に思っている人(家族など)がいる、
自分と同じ存在なのだと言うことを教えてくれます。
その子をいじめると言うことは、
その子を大切にしている人たちまで傷つけると言うことに、気づかせてくれます。

イギリスでは、いじめをしたら退学だという話を聞いたことがあります。
イギリスの学校に通っていた人に聞いてみると、
「そう言えばいじめってなかった」と言っていました。
そこまでしないと、いじめってなくならないのでしょうか?

じゃあ、今問われている、「いじめた人間を出席停止にする」と言う考え。
これはどう?

私も転校生だったから、この妹の気持ちが分かります。
小学校では転校生って目立つ存在で、
それ故に嫌な思いをしたことも多く、それがいじめに発展していったので。
なので、最初はこの本の結末が悲しくて、読まなければ良かったと思ったり。

手に取ったこの絵本は、薄汚れていました。
それだけ多くの人が手に取ったのだと思います。
その人達の心に、いじめがどんなことなのか浸透したことを、強く願っています。

(ISBN:4034380500 大型本 味戸 ケイコ 偕成社 ¥1,260)

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